【税理士】
私は自社の経営理念として、
"自利利他"という言葉を掲げています。
「お客様に喜ばれて、初めて当社の繁栄がある」という意味です。
お客様の役に立ちたい。
お客様から「ありがとう」と言っていただきたい。
そういう気持ちで日々の業務にあたっております。
私がこういう理念を持つに至ったのは、
若き日の厳しい環境に鍛えられたからでしょう。
高校卒業後、働きながら夜間の大学に通い
独学で公認会計士・税理士の受験勉強を続けました。
資格を取得し、
税理士として登録された翌年には24歳で独立開業。
24、5歳の若造が会計事務所を経営し、人生経験豊富な経営者であるお客様の信頼を
勝ち取らなくてはならないという現実は大変にシビアなものでした。
人の倍働いて半年で一年分の仕事をし、残り半年はお客様の相談に対応できるよう
ひたすら実践経営学を学ぶ日々。
言葉にするのは簡単ですが、並大抵の努力ではありませんでした。
このような苦労の中から「お客様に喜んでいただけなくては仕事は来ない。
お客様の役に立って初めて自社の経営が成り立つ」という原理が骨身に叩き込まれたのだと思います。
しかし、このように苦労して身につけた実践経営学ではありますが、
やはり机上の理論だけでは説得力に乏しい。
言っていることがいくら正しくても、なかなかお客様の腑に落ちない。
それならばと私は自らも実業の世界に飛び込むことにしました。
私のもとに寄せられる経営再建の案件のうち、「やり方を正せばこれは確実に儲かる!」と
確信できる事業に関しては指導だけではなく、
自らも経営に参画したり事業の一角を担って現実に黒字をはじきだしていったのです。
「やって見せ、言って聞かせてさせてみて、褒めてやらねば人は動かぬ」
そんな格言があったように思います。
いくら数字をあげて口で説明しても納得しなかったお客様でも、
私が実際に利益をあげてみせることによって素直に助言を受け入れてくださるようになります。
私は今までにいろいろな業界に参入して実際に企業を経営してきましたが、
それはまず成功のノウハウを自分で開発し、
ノウハウをお客様にお渡しするため(そしてもちろん自分も損をせず、
多少なりとも利益を得たいため)の手段だったのです。
とはいえ、私も魔法使いではありません。
どんな事業でも私が着手した途端に順風満帆…であればよいのですが、そういうわけにはいきません。
私の場合は経営再建のご相談を聞いた段階で、
まず仕事を受けるかどうか徹底的にその業界や地域の調査を行ないます。
そしてその地域で成功しているライバル企業の手法も調べ、
「ライバルはなぜ成功しているのか」を徹底的に分析して見習うべき点は素直に見習うのです。
(経営者の多くの方はここで意地を張ってしまうのが成功の支障となっているようです)
すでに成功している企業には必ず成功するだけの要素があります。
そこに目を向けなくては反撃の余地がありません。
さしたるライバルもおらず、なおかつ経営が低迷している場合は
元々その事業に見込みがなかったのかも知れません。
あるいは客層のターゲットを間違っているか、宣伝販促が不足しているか、
やり方を間違えているのかも知れません。
まず仮説を立て、試行錯誤を重ねて正解に辿り着く。
私の場合は実業に携わったおかげで「試行錯誤」を自らの経験にすることが出来ました。
本に書いてある理論だけを頼りに「ああしてみたら、こうしてみたら」と
無責任な助言を繰り返すコンサルタントとはわけが違うのです。
「それだけの才覚があるのなら、税理士事務所などやめて大実業家になったら…?」
という声がないでもありません。
けれど私はあまり純粋なお金儲けには興味がないのです。
いくら儲けたかではなく、どうやったら儲かったか。
その「どうやったら」のノウハウを見つける過程に一番の興味を持ち、
お客様と成功を分かち合いたいのです。
多くの中小企業の場合、会社の経営というのはトップ一人で決まります。
仮にトップダウンでない会社の場合でも、会社の将来は社長の良し悪しに左右されます。
ところが、経営に関する指導術やラーニングシステムは世の中にいくらでもありますが、
トータルでの「社長の仕事」を教えてくれるところはないのです。
特に重要な「人の使い方、売り方のコツ」といったものはどこにいっても教えてくれません。
それは各社なりの事情が異なり、全社共通の黄金率といったものがないからです。
言い換えれば、自社の黄金率を見つけ出すことが出来るかどうかが社長の資質ということでしょう。
では、社長の資質をどう磨くか。これが私の言う「社長学」です。
これはテキストを読むだけで身につくものではありません。
私たちの用意したカリキュラムに沿ってシミュレーションを行ない、
ケーススタディを積み、経営指数にも強くなる。
そして数多くの対話を重ねて「聞く耳」を磨く。さらに自らの判断能力を強化し、
押すタイミングと引き際を見極める。
要は理論と経験と感覚を高い次元で平衡させること。
これが社長学の要諦でしょう。
もとより唯一の正解がある学問ではありませんが、
私なりに数百の企業をサポートしてきた経験と実践から築き上げてきた
「社長学」を多くの方に学んでいただきたいのです。
これから私は県下各地でセミナーや勉強会を開催し、
お客様の会社を強くするための経営計画の指導に注力していきます。
当社のスタッフも成長してきました。
私の場合は、「仕事は部下に任せ、責任は自分が取る」というスタンスで指導にあたってきましたが、
幸いチャレンジ精神旺盛な部下に恵まれ、皆大変ではあったと思いますが実によく頑張ってくれています。
こうした人材を育てるのもまた社長学の一環、生きた教材です。
私とスタッフ一同で業績低迷に悩む社長の支援を行ない、
またこれから起業を考えている未来の社長に対しても、
社長学の勉強の場を提供していきたいと考えています。